「住宅用合成洗剤及び石けんの除菌活性試験法」「スポンジに対する台所用合成洗剤及び石けんの除菌活性試験法」による機能性評価を新たに開始しました

公正取引委員会認定【洗剤・石けん公正取引協議会】の公認試験機関として

一般財団法人ニッセンケン品質評価センターは2024年4月1日、洗剤・石けん公正取引協議会(以下、洗剤・石けん公取協)の公認試験機関として「住宅用合成洗剤及び石けんの除菌活性試験法」「スポンジに対する台所用合成洗剤及び石けんの除菌活性試験法」を新たに開始いたしました。メーカーによるデータ改ざん等が社会問題になる中、商品の選択に必要な情報が消費者に正しく提供されることが、社会的な要請となっています。ニッセンケンは製品の機能性評価等を通じ、社会的要請に応えるべく、試験メニューの拡大を図ってまいります。

【消費者の誤認防止のための「除菌の表示基準」がルール化】
 
 洗剤・石けん公取協とは、景品表示法(正式名:不当景品類及び不当表示防止法)に基づいて、公正取引委員会が認定した公正競争規則を運用するための団体です。近年、消費者の清潔意識の高まりに伴い、除菌効果を訴求した製品が増えてきました。「除菌」の基準は、これまで各社が独自に設けていましたが、除菌効果を謳った製品の多さや、その除菌効果を消費者が知覚しにくいことなどから、業界の統一ルールとして、公正競争規約に『除菌の表示基準』を追加しました。

【試験及び表示ルールの概要】
 
 ■対象製品例
 本試験法は住宅用や台所用など、身体洗浄以外の目的に使用する家庭用の「合成洗剤」と「石けん」を対象としています。
 ・住宅用洗剤:キッチン回り用、浴室用、トイレ用、リビング回り用など(プラスチックや金属、陶器、ホーローなどの硬質表面を対象とした洗剤)
 ・台所用:食器用洗剤(スポンジの除菌を目的にしている洗剤)
 ※上記以外には、除菌できる製品としてウエットワイパー類があり、日本衛生材料工業連合会が自主基準を定めています。

 ■除菌とは
  「除菌」とは、物理的、化学的又は生物学的作用等により、対象物から増殖可能な細菌の数(生菌数)を有効数減少させることです。ただし、当該細菌には、カビ・酵母などの真菌類は含みません。

 ■除菌表示基準
 ・除菌基準
  <除菌試験法>
   住宅用:住宅用合成洗剤及び石けんの除菌活性試験法
   台所用:スポンジに対する台所用合成洗剤及び石けんの除菌活性試験法
 ・菌種
  黄色ブドウ球菌と大腸菌[除菌活性値]  2以上であること
  ※除菌活性値2以上とは、「除菌効果がない対照試料」に対して生菌数を1/100以下に減少させることを言います。

 ■商品表示
 除菌基準を満たす製品には「除菌」マーク表示、または「洗剤・石けん公正取引協議会の除菌基準を満たしている」旨の表示のいずれか、あるいはその両方を表示することができます。
 ※マーク表示とは、公正取引協議会が統一するマークではなく、各々の従業者が「除菌」の2文字をデザイン化したものです。

【ニッセンケンウェブサイトの各種関連情報もご覧ください

 ・抗ウイルス・抗菌・抗アレル等のバイオケミカル試験に関する各種詳細資料(PDFファイル)は、こちらからダウンロードできます。
 ・ニッセンケンコーポレートサイトでも様々な製品の品質評価に関する情報を発信しています。ぜひご覧ください。


■本リリースに関するお問い合わせ先

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抗菌・抗ウイルス製品の市場動向とニッセンケンの試験対応について

オミクロン株の出現など、依然として新型コロナウイルス感染症の終息が見えない状況が続いています。
ご存じの通り、日本では昨年11月に「第5波」が終わったとされ、比較的安定した状況が続いていました。しかし今月に入り、従来の感染規模を超える「第6波」が押し寄せ、社会生活継続への不安が日々増しています。
このような状況下ニッセンケン・バイオケミカルグループは、衣食住に関わる様々な製品の抗菌・抗ウイルス試験を通じて、安全・安心な日常生活を支えるためのさらなる力になることができればと考えています。
本稿では、コロナ禍が始まって以降の抗菌・抗ウイルス製品の動向をお伝えするとともに、バイオケミカルグループが提供する試験対応について改めてお知らせします。

■抗菌・抗ウイルス製品の市場動向

株式会社富士経済が2020年11月に発表した「抗ウイルス素材の国内市場の調査結果」(PRESS RELEASE第20116号)では、新型コロナ感染症発生後の大きな市場変化について触れています。抗ウイルス素材を使用した製品の国内市場は、2019年に2,257億円だったものが2020年には3,375億円となり1年間で約1.5倍に増えています。
またリサーチステーション合同会社の「抗菌繊維の世界市場:抗菌剤別、用途別2026年予測」では、抗菌繊維の世界市場規模として2021年の107億ドルから2026年までには147億ドルまで増えると予測しています。
これら以外にも様々な調査がありますが、ほぼ共通しているのは、世界的なコロナ禍によって抗菌・抗ウイルス機能を持つ素材・製品への注目が確実に高まっていることです。とりわけ生活空間での感染リスクを抑えたいという共通心理が抗ウイルス製品のニーズにつながり、さらに全般的な衛生への欲求が強まることで抗菌機能も重視される傾向にあると言えます。

■認証制度への期待に応えるエビデンス確保の重要性

そのようなニーズが高まる中、抗菌・抗ウイルス効果の根拠となる「認証制度」に対する消費者の期待が大きいことは容易に想像できます。
一方で消費者庁は2021年2月「新型コロナウイルスに対する予防効果を標ぼうする商品等の表示に関する改善要請及び一般消費者等への注意喚起について」と題するリリースを発信し、景品表示法(優良誤認)の観点から問題があるとみた45事業者の42商品・役務に対し改善要請を行いました。
製品の信頼性確保の観点から、消費者の“この製品は本当に抗菌・抗ウイルス機能があるの?”という疑問に対して、企業はエビデンスで応えていくべきだと言えます。

■様々な製品分野に応用される抗菌・抗ウイルス機能

繊維製品の分野では「SEK(一般社団法人繊維評価技術協議会)、そして生活分野全般を広くカバーするものとして「SIAA(一般社団法人抗菌製品技術協議会)がよく知られています。
SIAAは広い意味での【素材】を対象としており、製品分野を挙げるときりがありません。例えばキッチンまわりやサニタリーを含めた住宅建材、家電・IT機器、文具から、電車の手すりや映画館のシートまで、人が触れるもの、人が集まるところで活躍しています。
抗菌性及び抗ウイルス性機能を持つ製品に付与できる各マークを紹介します。

SEKマーク
抗菌機能
抗菌防臭加工
抗菌防臭加工
制菌加工(一般用途)
制菌加工
(一般用途)
制菌加工(※特定用途)
制菌加工
(※特定用途)
SIAAマーク
抗菌機能
抗菌加工
抗菌加工
※特定用途は、医療機関、介護施設等が必要と認めて指定する業務用の繊維製品を対象として付与されます

SEKマーク
抗ウイルス機能
SEK 抗ウイルス加工
抗ウイルス加工
SIAAマーク
抗ウイルス機能
SIAA 抗ウイルス加工
抗ウイルス加工

また先般、抗菌製品技術協議会はBtoB、BtoC両方の用途でSIAAマークのPR動画を公開しました。
「機能加工とはなにか」、また「対象製品はどのようなものか」がイメージしやすい内容となっています。

■ニッセンケンが行う抗菌・抗ウイルス試験が認証取得申請のエビデンスとなります

SEK及びSIAA認証を取得するためには、当該製品の抗菌・抗ウイルス等の機能性を証明する試験データを各協議会に提出しなければなりません。ニッセンケンはこれらの試験を行う指定試験機関となっており、下記規格に基づく試験証明書が、申請時に必要なデータとして有効です。

対象規格番号試験名称
1細菌JIS L1902繊維製品の抗菌性試験方法及び抗菌効果
2ウイルスJIS L1922繊維製品の抗ウイルス性試験方法
3細菌JIS Z2801抗菌加工製品― 抗菌性試験方法・抗菌効果
4ウイルスISO 21702Measurement of antiviral activity on plastics and other non-porous surfaces

なお試験依頼者の要望に応じて、規格を応用した創作試験も行っています。各試験規格に定められた条件よりも厳しい環境下にしたり、逆に緩やかにしたりなど対応できます。
(※創作試験の結果は、SEK及びSIAA認証取得のためのデータとしては利用できません)

また、お問い合わせの多い2種類の抗菌試験の内容について下表で分かりやすく紹介します。

JIS L 1902=SEK認証取得申請時JIS Z 2801=SIAA認証取得申請時
適用範囲繊維製品プラスチック/金属などの非多孔質 表面
試験菌種例)黄色ぶどう球菌 肺炎かん菌 MRSA
*取得するマークの基準に従い選択します。
黄色ぶどう球菌 大腸菌
培養時間18~24時間24時間
培養温度37℃35℃
菌液の接種0.2mLをしみ込ませる0.4mLを表面にのせ、フィルムで均一に広げる

■信頼の製品を市場に供給するためにニッセンケンがサポートします

SEK及びSIAAでは抗菌・抗ウイルスの機能性の面だけではなく、その機能性を付与する加工剤の安全性についても注視しています。さらに、それらの機能性を商品で謳う場合、景品表示法等に抵触しないよう表示についても細かく指定しています。
これら認証取得について、トータルでサポートをできるのがニッセンケンです。
認証取得にあたっての疑問や本稿へのご質問等ございましたら、ぜひこちらよりお問い合わせください。お待ちしています。